カテゴリー: 従業員満足度・意識調査 経営支援 ブログ
医療機関が地域で選ばれ、安定した経営を行っていくためには、従業員が満足して働ける環境づくりが必要です。
医療スタッフのモチベーションを高めようとしても、従業員の満足度が高くなければ患者様への対応や接遇が低下したり、多職種の連携が進まなくなったり、さらには離職率が悪化したりと、経営上のさまざまな問題が生じてしまいます。
昨今の新型コロナウイルスに対応で、医療者のモチベーションの低下が課題になっている医療機関が増えているのも事実です。
このブログでは、「従業員意識調査と従業員満足度調査の違い」や「分析指標」、「調査結果をどのように活かすか」など、その活用方法について詳しく解説していきます。
今後の組織運営にお役立ていただければ幸いです。
目次
「従業員満足度調査」は、従業員が現在の職場環境、業務内容などに対して、どの程度満足しているかを計るのが目的です。
従業員の満足度を数値化することで改善する課題を特定しやすくし、院内の運営や部門間のルール、マネジメント手法などの改善に効果を発揮します。また、離職率の改善に向け、帰属意識や達成感・働きがいをどの程度感じているのかを把握する目的で実施される医療機関が増えてきました。
満足度調査によって、従業員が安心して業務に取り組める環境を整備できれば、業務効率を高め、患者様の満足を向上させることにも繋がります。
一方、「従業員意識調査」は、一般的には従業員がどのような意識で業務をおこなっているかを把握する調査をいいます。
従業員が自身の業務や職場環境に対してどのような意識で向き合っているかを聞くことで、改善に向けた対策を考えやすくします。
また、従業員の「意識」を調べることで、医療機関と従業員が意見交換する機会となるため、定期的に従業員や職場の現状を把握するうえでも役立ちます。
当社が行う「医療機関のための従業員意識調査」では、「従業員満足度」と「業務意欲度」を測定し、従業員の職場への満足度と合わせ、どの程度のモチベーションで業務に当たっているかといった「業務意欲度」を測定しています。
それは、職場への満足度が高くても、業務意欲を低下させる要因があると、医療機関に求められる職場環境の改善が進まないためです。
特に医療機関は提供される医療サービスが「人的要因」によって左右されるケースが多いことから、業務意欲度を計測し、その後の院内の取組みにお役立ていただいています。
従業員の満足度を上げるとともに、業務意欲度を高めるための指標として活用いただければと考えております。
ここで今一度、医療機関が従業員満足度や業務意欲度を調査する目的を整理しておきたいと思います。
なぜ、医療機関で従業員満足度調査を行うのか、その目的は大きく3つ挙げられます。
1.院内の組織課題や問題点を特定するため
2.実施する院内の取組みの効果を測定するため
3.医療機関の経営指標として定期的に計測するため
これらの目的が挙げられます。
従業員の現状の満足度を定量的に測り、組織の課題や問題点を可視化することできます。調査結果を踏まえて、課題を改善する取組みを院内で行う際の基準を認識することができます。
院内で何らかの取組みを行う場合の効果検証として、従業員満足度調査を使うことができます。取組みを行う前後で、どの程度、満足度に変化があったのか、どの項目に影響があったかなどを検証できます。
院内組織や従業員の現在の状況を把握する経営的な指標として、定点観測することも目的として挙げられます。特に医療機関は、「人材」が経営的に重要な資源になります。そのため、従業員の満足度を可視化し、その後の経営や組織運営の指標にすることが求められます。
従業員の満足度は11の指標で分析を行います。
従業員満足度調査を分析する11の指標に関しては、こちらの記事をご覧ください。
当社が行う「医療機関のための従業員意識調査」では従業員満足度と合わせて、従業員の「業務意欲度」を測定しています。
業務意欲は、業務へのモチベーションと言い換えることができます。
医療機関における従業員のモチベーションは、患者様満足や業務効率に与える影響が大きいことから、業務意欲度を計測する医療機関が増えています。
医療機関で従業員業務意欲度調査を行う目的は大きく3つ挙げられます。
1.従業員の業務意欲を上げている(下げている)点を明らかにするため
2.離職率を改善し定着率を上げる取組みを効率的にするため
3.実施する院内の取組みの効果を測定するため
これらの目的が挙げられます。
業務意欲度を定量的に測り、人材マネジメントの課題や問題点を特定します。結果を踏まえて、課題を改善する取組みを院内で行う際の基準が明らかにできます。
離職率と業務への意欲度には相関があります。多くの医療機関が課題としている離職率の改善に向けて、調査結果を踏まえた取組みを行うことで、効率的な改善の実施が可能になります。
従業員満足度と合わせ業務意欲度を測定することで、院内で行う取組みの効果を把握することができます。取組みを行う前後で、どの程度、モチベーションに変化があったのか、どの項目に影響があったかなどを検証できます。
医療機関の組織変革は、従業員の業務に対する意欲の高さを踏まえる必要があります。4つの欲動指標を用いて、従業員の業務意欲度(モチベーション)を算出します。業務意欲を高めるマネジメントの実現が可能になります。
業務意欲度を分析する指標です。
1.獲得
2.理解
3.絆
4.防御
これらの欲動指標が挙げられます。
職責や職位など無形のものを含めて、希少なものを手にいれる欲動です。
物理的なものから昇格といった社会的地位の向上などで高まります。
好奇心を満たすことや自分を取り巻く環境を理解しようとする欲動です。
これは、自分の力が試され、成長し、学習につながる仕事を与えられることなどで高まります。
個人や集団との結びつきを形成する欲動です。
その組織に愛着を持ち、属していることを誇りに思うことなどで高まります。
外部の脅威から、自己、財産、業績、大切な人、ビジョンや信念、正義を守ろうとする欲動です。
この欲動は満たされることで、安心感と信頼感につながります。
業務意欲度を分析する上での設問の一例と、結果を踏まえた取り組みの方向性を紹介します。
・獲得欲動を問う設問例
「自院は、自身のやりがいを高める工夫をしていると感じる」
「自分は、自院から必要とされていると感じる」
・理解欲動を問う設問例
「自院の理念や目指す方向性を知っている」
「自院の独自性や価値は院内で共有されていると感じる」
・絆欲動を問う設問例
「自分は他の部門の業務に関心を持っている」
「上下関係を問わず、なんでも言い合える雰囲気がある」
・防御欲動を問う設問例
「勤務交代や休暇取得を申し出やすい配慮がなされている」
「自分の労働時間は適切だ」
これらは設問の一例とお考えください。
ここに紹介したもの以外の設問と合わせ総合的に分析することが適切です。
では、調査結果を踏まえて、改善に向けた取組みの方向性を紹介します。
職責や職位を院内の人事規則に沿って適切に上げていくというのはまず行うべき取組みです。現場スタッフの獲得欲求を満たす取組みとしては、「褒める組織への変革」に向けた取り組みが有効です。
多くの医療機関がスタッフに対してネガティブチェックが働く傾向が伺えます。ポジティブな面に目を向ける職場の雰囲気づくりが獲得欲動を満たすことに繋がります。
理解欲動を満たすためには、自院の地域における存在意義を明らかにし、それ共有することが不可欠です。地域における存在意義は、機能的な面だけでなく情緒的な面での価値を明らかにすることがモチベーションの向上には有効です。
患者様が他の医療機関では得難い満足が、この医療機関に来ると得られる喜びなどを設定し共有する取組みです。
絆欲動を満たすには、院内でのコミュニケーション量を増やす取組みが有効です。コミュニケーションといっても、会話だけではありません。
特にコロナ禍で感染リスクを考慮すると会話量は減る傾向にあります。カードなどを利用し、ちょっとした感謝の言葉を伝えるといった取組みはコミュニケーション量を増やすことに繋がります。
防御欲動を満たすためには、従業員の安全性を高める工夫は最低限のこととして、勤務の交代などの申請や申し出をしやすくする雰囲気作りが有効です。
日ごろから部門長が部門内のスタッフに心を配り、家庭の状況などをなにか課題が生じたときにスタッフが言いやすい雰囲気を作ることが大事です。
以上、医療機関の従業員満足度調査の目的や意欲度(モチベーション)を測定する上での分析指標、改善に向けた取組みについて紹介させていただきました。
まずは、院内の課題を数値で見える化することから始められてはいかがでしょう。
詳しくは、こちらをご覧ください。