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医療者にとっての働きがいと達成感について

カテゴリー: 意識改革 組織改革 経営支援 ブログ 院内コミュニケーション

新型コロナウィルスの感染拡大は、医療機関で働く医療者、スタッフにこれまでとは異なる大きな負担を強いることになりました。
それは、感染病棟をもつ医療機関のみならず、診療所、クリニックを含め、規模の大小を問わず多くの医療機関に影響を与えています。

そうしたなか、コロナ禍において「働きがい」や「達成感」をどのように獲得していけばいいか。スタッフが働きがいや達成感を実感できる医療機関になるためには、どのような取組みが有効か。
こういったご相談を多くいただくようになりました。
医療者にとってのモチベーションの源泉ともいえる「働きがいと達成感」について、今回はその対策を含めご紹介させていただきます。

スタッフのモチベーション維持に課題を感じている医療関係者の方は、ご参考にしていただければ幸いです。

そもそも「働きがいと達成感」とは何か?

働きがいと達成感の言葉の意味を調べると、それぞれこのような表現が出てきます。

「働きがい」とは

働くことによって得られる結果や喜び。働くだけの価値。

「達成感」とは

あることを成し遂げたことによって得られる満足感。

一般的な意味としては、このようなことになります。
少し漠然としていて、この意味のまま「働きがいや達成感を実感できる医療機関」を目指した取組みを考えても、しっくりこない気がします。

医療者にとっての「働きがいと達成感」とは、どのようなものでしょうか?

医療者にとっての働きがいと達成感とは

医療現場で働くスタッフに「あなたにとって、働きがい・達成感とはなんですか」「どんな時に働きがいや達成感を感じますか」と聞いてみました。

すると、こんな答えが返ってきました。

働きがいを感じる時と、達成感を感じる時は、異なる要素があったため整理して列記します。

医療者が働きがいを感じる時とは

「患者様やご家族に喜んでもらったり感謝されると働きがいを感じる」
「多職種で取り組むなど、チームワークが試される業務に働きがいを感じる」
「院内全体のことなど、組織の変革が進んだときに働きがいを感じる」
「半年に1回でも、認められたと思える瞬間があると働きがいを感じる」

医療者が達成感を感じる時とは

「良いフィードバックを受けたときに達成感を感じる」
「高い課題をクリアできると達成感を感じる」
「技術を学習して、それを現場で活用できたときに達成感を感じる」
「役職者になって、メンバーのモチベーションが上がっていると感じたときに達成感を感じる」

ここから見えてくることは以下の2点です。
1.働きがいや達成感を感じるポイントは年齢や役職によって異なり、経験によって変化する。
2.働きがいは「他者承認欲求」が、達成感は「自己承認欲求」が、それぞれ満たされたときに実感できる。

これらを前提に、「働きがいや達成感を実感できる医療機関」に向けた取組みを考える必要があります。
それは、医療スタッフが「働きがいを実感する取組み」と「達成感を獲得する取組み」とは別に考える必要があるということです。

では、具体的にどのような取組みが「働きがいや達成感を実感できる医療機関」に向けた取組みとして相応しいのかを考えていきたいと思います。

ただ、この取組み策の企画は、実はとても難しい作業です。

その理由は、多くの医療機関がスタッフの働きがいや達成感の獲得に向けた対策をこれまで考えることが少なかった(場合によってはなかった)こと。
それと、今回の新型コロナウィルスの拡大によって、医療者のモチベーション維持が大きな課題になったことなどが挙げられます。

そこでまず「働きがいや達成感を実感できる医療機関」とはどのような医療機関か、そのイメージを医療スタッフに聞いてみることにしました。

「働きがいや達成感を実感できる医療機関」とは

医療機関で働くスタッフが理想とする職場環境として挙げたのは、以下のような内容になります。

  • 個人の考えや価値観を伝えられる雰囲気があり、それを共有できる環境。
  • 意見が尊重されている環境。
  • 周囲の従業員が親身になってスタッフの声を聞いてくれる環境。
  • 自身のスキルを活かせる環境
  • チャレンジが奨励される環境。
  • 慣例化していることが変化していく実感がある職場。
  • 孤独感を感じない職場。
  • 感謝されている実感のある環境。

これらの声を踏まえて、医療スタッフが働きがいや達成感を実感するための取組み策を検討する必要があります。
当社では、医療機関の経営改善やスタッフのモチベーション維持に向けた各種のサポートを行っています。
お問い合わせいただければ、具体的な取組み方法などご案内いたします。お問合せはこれらから

医療スタッフが働きがいと達成感を実感できようにするための取組み

では、具体的にどのような取組みが、医療スタッフに働きがいや達成感を実感させられることになるのか、見ていきたいと思います。

ここまでのヒアリングから、取組み策の検討にあたり認識しておくべき課題はこれらです。

  1. 達成感の獲得に向けては、「自己承認欲求」を満たすこと
  2. 働きがいの実感に向けては、「他者承認欲求」を満たすこと
  3. 従業員のプラスの面に目を向け合う職場風土をつくること
    (ネガティブチェックからポジティブチェックの職場への変革)
  4. 従業員個人の短期の承認欲求と長期の承認欲求を満たすこと

1と2については、前述の通りになりますが、3の「ポジティブチェックの職場への変革」は医療機関にとってはやや難しい課題です。
つまり、多くの医療機関には職場風土をそう簡単に変えられない、医療ならでは特徴的な理由があります。

医療は、患者さまの疾患(悪いところ)を発見して治癒する仕事です。
それと、安全性が第一に優先されます。
そのため、職場にもネガティブチェックが働きやすく、特に上下の関係においてそうした視点が強い傾向が伺えます。
モチベーションの維持向上に向けては、企業以上にポジティブチェックの職場環境への変化が求められます。

4の「短期の承認欲求と長期の承認欲求を満たすこと」は、短期的にモチベーションを上げることは容易でも、長期に渡るモチベーション維持が難しいことが挙げられます。特に今回の新型コロナウィルスのように、先の見えない状況が続く可能性がある中では、重要な課題になります。

最近の行動心理学では、給料や賞与による金銭的な報酬は、短期的なモチベーションはによって上げることはできても、長期的なモチベーション維持には寄与しないことが明らかになっています。

長期的なモチベーション維持に向けては、相応の取組み策が必要になります。

ここからは、具体的な取組み策を、いくつか紹介したいと思います。

働きがいの獲得に向けた取組み策

患者様からのメッセージカード

医療者が働きがいを最も感じる瞬間というのは、患者様やご家族からの感謝の言葉をかけられたときでしょう。
この取組みは、院内にメッセージカードを用意し、スタッフへのメッセージを患者様やご家族に促す取組みになります。
ですが、この実施に当たっては留意することがあります。

できるだけ「あからさまにならない工夫」です。
つまり「頑張っている医療スタッフに感謝に言葉を書いて渡してください」というのは、患者様に違和感を与えてしまう懸念があります。
ですので、メッセージカードの設置場所に掲げる案内には工夫が必要です。
医療機関へのクレームも受け止めるつもりで、カードを用意するようにしましょう。

働きがいカンファレンス

私たちは社会に出てから、「自分の仕事に対しての働きがい」について考える機会がほとんどありません。
今回、医療スタッフへのヒアリングで、働きがいとは何か、達成感とはどういったときに感じるのかといったことが見えてきました。
また、ヒアリングを受けたスタッフからも「これが私の働きがいだったんですね」「働きがいって、世代によって変わってくるんですね」といった声が聞かれました。

年に1度程度、定期的に「働きがい」をテーマにカンファレンスを開催するといった取組みをお勧めします。

まずは年代別にカンファレンスを開き、同世代の働きがいを共有します。
異なる職種のメンバーでグループディスカッションを行ってもいいでしょう。
多職種連携のきっかけにもなりますし、職種による働きがいの違いも理解できます
そのあと、全世代でカンファレンスを行い、世代間の違いを認識し合うのも有効です。

達成感の獲得に向けた取組み策

チャレンジボード

各部門にチャンレンジボードを設置します。
月初に、その部門長とスタッフが「今月、自身がチャレンジすること」を書き出し発表し合います。
そして、月末にボードに記したチャレンジがどの程度達成できたかを発表し合います。
特に優れたチャレンジをしたスタッフには、月間部門賞を授与するのもいいと思います。
チャレンジボードを設置する単位は、医療機関の規模によって異なってきます。
一つのボードを10~15人程度で使うイメージで考えるといいでしょう。

これは、短期的な個人の成長を確認し合うとともに、月初に宣言することでモチベーションを高めることができます。

ここで注意が必要なのは、チャレンジ内容の考え方です。
人事評価を取り入れている医療機関では、部門目標への貢献度が高い評価に繋がり、個人の課題も部門への貢献内容になりがちです。

この取組みでは、個人の成長を皆で認め合う取組みとして推進し、部門への貢献をあまり意識しない方が積極的に取り組めることでしょう。
「業務に関わることなら、チャレンジ内容は千差万別でいい」という考え方での推進をお勧めします。

評判会議の開催

評価会議というのはよく耳にすると思います。
ここで紹介したいのは「評判会議」です。
評価会議は、従業員の1年間(または半年間)の組織への貢献度を評価軸に従って上長が評価し、その評価によって給与や賞与に変動を与えるというのが一般的なものかと思います。
それとは異なり、「評判会議」はスタッフのポジティブな面に目を向けて、それを院内で共有していこうという取組みです。
一人一人の従業員の長所や頑張っていること、優れていること(評判)を見ていくことになります。

評価会議が同じ評価軸で従業員を評価していくのに対し、「評判会議」は従業員それぞれの軸で評価していくことになります。
「彼(スタッフ)は、患者様への親切な対応に優れているので、〇〇部門の親切オブザイヤーにしたい」
「彼女(スタッフ)は、苦手だった笑顔の対応に頑張っているので、〇〇部門のスマイル賞を上げたい」

といったように評判を共有し、それを1年に1回、部門内や院内全体で表彰し、スタッフの優れた評判を共有していく取組みです。
自身の頑張ったことや優れた長所を好評されるのは、他者承認欲求を満たし次の活力になります。

ここまで、医療スタッフの働きがいや達成感を実感できるようにする取組みとして紹介させていただきました。
ぜひ参考にしていただき、ご自身の医療機関で取り組めそうなところから推進されてはいかがでしょう。

当社では、医療機関の経営改善やスタッフのモチベーション維持に向けた各種のサポートを行っています。
お問い合わせいただければ、具体的な取組み方法などご案内いたします。
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ここに紹介した以外にも様々な取組みを準備しています。
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