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離職率を下げよう!看護師など医療スタッフの悩みを解決し、モチベーションをアップする方法とは

カテゴリー: モチベーションアップ 意識改革 経営支援 ブログ 離職率

病院・クリニックなど医療現場の離職率や離職理由を踏まえ、看護師のモチベーションアップ対策について解説しています。

やりがいを感じる職場環境とは?マズローの自己実現理論(欲求5段階説)に基づいて、どういった職場が人のやりがいを高めるのかを見ていきます。

看護師の離職率について

病院看護実態調査(日本看護協会2018.5発表)によると、2017年の1年間に正職員として勤務する看護師の10.9%が何かしらの理由で離職しています。
この数字は、1年間におよそ10人に1人の割合で医療機関を辞め、他の医療機関に転職するか、医療現場から離れてしまっているといった状況です。

労働者全般の離職率を見ると、全国平均が15.0%、中卒者から大卒までの新卒者平均は22.3%となっています。
これを見ると、看護師の離職率は決して高いわけではありません。

ただ、近年の医療現場での人手不足を考えると改善の必要性が高い数字であると言えます。
一方で、医療現場から離れている潜在看護師の数は70万人以上いると推測されており、看護師の離職問題を早急に解決することが求められています。

看護師の離職理由

退職理由については、厚生労働省発表の「看護職員就業状況等実態調査 」によると以下のようになっています。

  • 「出産・育児のため」22.1%
  • 「結婚のため」17.7%
  • 「他施設への興味」15.1%
  • 「人間関係がよくないから」12.8%
  • 「超過勤務が多いため」10.5%
  • 「通勤が困難なため」10.4%
  • 「休暇がとれない・とりづらいため」10.3%
  • 「夜勤の負担が大きいため」9.7%
  • 「責任の重さ・医療事故への不安がある」9.6%

などと続きます。

看護師は女性が多く、夜勤や交代勤務の負担が出産・育児に及ぼす影響が大きいことも、仕事を続けるうえで大きなハードルとなっています。
最近では男性の看護師も増加傾向にありますが、まだまだ女性の割合が高い職業です。
女性が働きやすいよう環境を整える医療機関が増えているとはいえ、育児をしながらハードな勤務をこなすのは難しいと考える人も多いことが、この調査結果から伺えます。

また、勤務時間の長さや業務負担の大きさといった環境要因も退職の理由の1つです。
人手不足の職場では看護師1人あたりの業務量が過重となっており、十分な休息がとれない、夜勤の時間が月平均72時間を超えているなどの実態があります。

超過勤務が多く、夜勤の負担が大きい。さらに、休暇がとり辛い環境で、慢性的な疲れや疲労感を抱える看護師が多いのも事実です。

ほかにも、給料など待遇への不満は転職を後押しする要因になります。
「人間関係がよくない」背景には、スタッフ間でのいじめやコミュニケーションの不足があると思われます。

そういったことから、病院を辞めたい、自分には向いてないと思ってしまい、医療現場から離れていく看護師の実態が伺えます。

病院の働き方改革

2019年4月、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が報告書を発表しました。

報告書には、医療を取り巻く構造的な変化や働き方の実態調査を踏まえ、実現すべきビジョンの方向性などが示されています。

現実的には、「医療ニーズが増大する一方で、限られた資源で対応する」状態が続いています。

そうした中、上記の報告書では2024年3月末までに医事法制を改正し、医師の時間外労働の上限時間を年間1860時間にする予定と記されています。

このように、医療機関にも働き方改革が求められています。
しかし、そう簡単に進められるものではありません。

その実現には、「生産性の向上」が必要になります。
医療現場での生産性の向上には、医師や看護師といった医療に関わるスタッフのモチベーションの維持・向上が不可欠です。

自らが主体者となって、職場の環境改善に向けて動く看護師をどれだけ確保できるかが、病院経営の生命線になるといっても過言ではないでしょう。

病院の働き方改革については、ブログ「医師・医療機関の働き方改革の本質」で詳しく書きましたので、そちらもご覧ください。

看護師がやりがいを感じる職場環境作りについて

そもそも、人がやりがいを感じる職場とは、どのような職場でしょう。

やりがいとは、究極的には「この職場で働くことで、自己実現できること」であり、その期待がモチベーションを高めます。

マズロー(心理学者・米国)の自己実現理論に基づいて、どういった職場が人のやりがいを高めるのかを見ていきます。

マズローの自己実現理論(欲求5段階説)

マズローは、人の基本的な欲求を5段階の階層で表しました。
下層から、「生理的欲求」「安全欲求」「所属の欲求」「承認欲求」の4つ欲求があり、それらが満たされてこそ、「自己実現欲求」に向かうという理論です。

生理的欲求は、「食や睡眠など人間にとっての基本的な欲求」です。
安全欲求は、「安全な環境にいたい、経済的に安定したいといった欲求」です。
所属の欲求(社会的欲求)は、「集団や組織に所属し、愛情を充足したい欲求」です。
承認欲求は、「自分の存在を認めてもらいたいという欲求」です。
自己実現欲求は、「自己の向上、自己の能力を実現したい欲求」です。

自己実現欲求の高い看護師が多くいるということは、モチベーションが高く主体的に病院の運営に関わるスタッフが多くいる病院と言えます。
そういった理想的な職場環境づくりのヒントがあります。

ではこの5つの欲求を、医療機関ではどのように満たしていくべきかを見ていきます。

生理的欲求

医療機関における「生理的欲求」は、従業員が基本的な生活を送れる給料を毎月きちんと支払うことで満たされます。
賃金の滞納や賞与額の大きな変動がある場合には、生理的欲求が満たされません。

安全欲求

安全欲求は、労働条件や安全な労働環境を整えることによって満たされます。
過度な残業や、休暇を取りづらい環境は、安全欲求が満たされません。

所属の欲求(社会的欲求)

所属の欲求(社会的欲求)は、「メンバーとして受け入れられ、信頼できるスタッフと働いている実感」によって満たされます。
挨拶なども含め、スタッフ間のコミュニケーションが不足している医療機関や、いじめがあるような職場では社会的欲求は満たされません。

承認欲求

承認欲求は、「仕事を通して、周囲の人から認められる・褒められること」で満たされます。
「よくやったね」「がんばってるね」といった声掛けがスタッフ間で少ない病院では、承認欲求は満たされません。

自己実現欲求

自己実現欲求は、「自分の力を発揮して、目標を達成したい。目標を達成することでさらに成長して、キャリアップしたい」といった欲求です。
人間らしい欲求であり、この欲求こそがモチベーションの源泉になります。

医療現場での課題

生理的欲求から承認欲求を満たしていくことは、病院経営者として重要なことになります。

しかしながら、医療機関はとかく「承認欲求」を満たすことにハードルの高さを感じます。
意外と病院内は「褒め合う」「称えあう」習慣がないのです。
それは看護師同士のみならず、師長や看護局長などの上司が現場スタッフを褒めることが少ない職場環境ということです。

これは、日ごろの業務が「疾患を見つける」「悪いところを治す」ことに力点が置かれていることに起因すると考えられます。
そのため、人の行動、看護師の言動にもついつい悪い点に目が行きがちになり、「褒める」「称える」ことが少なくなっていきます。

そういう医療現場では、承認欲求が満たされず自己実現欲求への期待が下がります。
自ずと看護師のやりがいは低下し、モチベーションが下がります。

事例:受診者満足度88%の「みの健康管理センター」の取組み

岐阜県の「みの健康管理センター」は美濃市立美濃病院内に2016年7月に開設されました。
開設当初より法人需要を促すなど様々な工夫で、市民の受診を促してきました。
一方で、より受診者に満足される健診にしたいといった課題がありました。

それは、地方病院ならではの悩みとして、受診者の口コミが広がりやすく、とくに悪い評判は瞬く間に広がるといったことがあります。
受診者満足の向上は、病院経営上の重大な課題となっていました。

これまでも、従業員向けの研修やセミナーなどを開催し、対応力の向上に努めてきました。しかしながら、思うように意識改革が進みませんでした。

そこで、スタッフが中心になりセンターの独自価値を設定し、「対応力No.1の健康管理センター」を目指して動き出しました。
取組みの一貫として、毎週1回、全スタッフが集まり「スクラムミーティング」を開催しています。
そこでは、受診者の声などを踏まえ、優れた対応をしたスタッフを褒めることを習慣づけています。
そうした取組みが奏功し、現在では受診者満足度87.9%という高い満足から、口コミが広がり3ヶ月待ちの健診コースもあるほどになりました。

医療機関での「褒め合う」「称え合う」習慣の重要性を表す証左と言えます。

具体的な取組みは、支援実績「みの健康管理センター」をご覧にただければと思います。
受診者満足を高め、受診者増に成功した「みの健康管理センター」

看護師のモチベーションアップ対策

看護師のみならず、病院で働くスタッフのやりがいを生み出し、モチベーションを高めるためには、まず生理的欲求から承認欲求を満たしていくことは必要不可欠になります。
特に、承認欲求を満たす取組みを日ごろから意識的に行っていくことは重要なことです。

しかし一方で、勤務する医療機関への愛着が低いと、やはり転職に繋がってしまいます。
つまり、医療スタッフとしての自負と共に、勤務する医療機関への愛着を高める取組も必要になってきます。

「私はなぜこの病院で働きたいのか」
「私はなぜこの病院で働き続けたいのか」

といった自身の職場選びの必然性を自分ゴト化できていることが職場への愛着形成の第一歩になります。

先述の「みの健康管理センター」の取組みでも紹介しましたが、このセンターでは看護師などスタッフ自らが、センターの独自価値を明らかにするプロセスに参加しました。

職場の独自価値を自ら考え設定することで、職場への愛着が高まります。
そして、独自価値の向上が、やりがいとなりモチベーションの向上を促します。
勤務する医療機関の独自価値をスタッフで共有し、その向上を共通の目標とすることで、所属の欲求が高まります。

B&Cメディカルでは、医療機関の課題に応じて、個別に解決の糸口を探ります。
看護師などスタッフのモチベーションを高め、院内の組織変革を実現させます。
詳しい取組み方法に関しては、それぞれのサービス内容をご覧ください。

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